○佐川町手話言語の普及及び障害者のコミュニケーション手段の利用を促進する条例
平成29年9月19日
条例第28号
言語は、人々が交流し、情報を伝達し、お互いの感情を理解し合い、コミュニケーションを図るための手段であり、生きていくために欠かすことのできないものである。しかしながら、現実には多くの障害者は、必要な情報伝達手段やコミュニケーション手段の選択の機会が制限され、自分に与えられた権利ですら行使することが困難な状態となっている。
また、障害者の権利に関する条約や障害者基本法においては、手話が音声言語と同等の言語として位置づけられ、手話言語を必要とする人に対し、生活のあらゆる場面で手話による意思疎通と情報を得るための環境を整備することが求められている。
このような状況のもと、佐川町においては、手話言語だけでなく、点字、代読、音訳、要約筆記等、障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段が障害者にとって必要不可欠であるという認識に基づき、障害に対する理解を深め、全ての町民が、お互いの存在価値を認め、安心して暮らせる佐川町を目指し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、手話を言語として明示した障害者の権利に関する条約及び障害者基本法(昭和45年法律第84号)に基づき、手話への理解の促進、手話の普及並びに障害者が情報を取得し、コミュニケーション手段を選択して利用する機会の確保について基本理念を定め、町の責務並びに町民及び事業者の役割を明らかにするとともに、障害者にとって個人の障害の特性に応じて情報を取得し、コミュニケーション手段を利用しやすい環境を整備するための施策を総合的かつ計画的に推進し、もって全ての人がお互いを理解し合い、個性を尊重し合いながら、生まれ育った地域で自分らしく安心して暮らすことのできるまちづくりが実現できることを目的とする。
(1) 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、難治性疾患その他の心身の機能障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁(障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。)により継続的又は断続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受けるものをいう。
(2) ろう者 手話を主なコミュニケーション手段として用いる聴覚障害者をいう。
(3) 障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段 手話、要約筆記、点字、音声拡大文字、触手話、指文字、平仮名表記、サイン、写真、絵図等の視覚情報を活用した分かりやすい表現その他障害者が日常生活及び社会生活において使用する意思疎通の手段をいう。
(4) 事業者 町内に事業所又は事務所を有する個人及び法人並びにその他団体(国及び地方公共団体を除く。)をいう。
(5) 合理的配慮 障害者が日常生活及び社会生活において、障害がない者と同等の権利を行使することを確保するため、必要かつ適切な現状の変更及び調整等を行うことをいう。
(6) コミュニケーション支援者 手話通訳士・者、要約筆記者、点訳者、音訳者(朗読者を含む。)、盲ろう者向け通訳・介助員その他障害者の意思疎通の支援等を行う者をいう。
(基本理念)
第3条 手話への理解の促進及び手話の普及は、手話が独自の言語体系を有する文化的な所産であり、かつ、ろう者が知的で心豊かな日常生活及び社会生活を営むために受け継いできたものであるとの認識を持って行わなければならない。
2 障害者が情報を取得し、コミュニケーション手段を選択して利用する機会の確保は、それが障害者にとって日常生活及び社会生活を営む上で必要不可欠であるとの町民の、理解のもと、全ての人がお互いに人格及び個性を尊重し合うことを基本として行わなければならない。
(町の責務)
第4条 町は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、手話言語への理解の普及及び障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の普及に関する施策を推進するものとする。
(町民の役割)
第5条 町民は、基本理念に対する理解を深め、町が推進する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、町が推進する施策に協力するよう努めるとともに、障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段による意思疎通が行われるよう合理的配慮の提供に努めるものとする。
(施策の基本方針)
第7条 町は、第4条の規定による責務を果たすため、次に掲げる施策を障害者基本法第11条第3項に規定する町が定める障害者計画及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第88条第1項に規定する町が定める障害福祉計画において定め、総合的かつ計画的に推進するものとする。
(1) 手話を学ぶ機会の提供に関する施策
(2) 障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段への理解及び普及に関する施策
(3) 障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段を使用するに当たっての環境の整備に関する施策
(4) コミュニケーション支援者等の確保及び養成に関する施策
2 前項各号に規定する施策を推進するにあたっては、障害者、コミュニケーション支援者並びにその他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するように努めなければならない。
(財政上の措置)
第8条 町は、前条第1項各号に規定する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
(委任)
第9条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。